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アニサキスについて
アニサキスは主に魚介類を宿主とする寄生虫の一種です。生きたアニサキスを飲み込んでしまうと、人体に感染して激しい腹痛や嘔吐などの症状を引き起こします(アニサキス症)。
アニサキスはヒトを宿主にできないため、アニサキスに感染しても寄生されることはありません。しかし体内でも1週間ほど生存できるので、その間は激しい症状に見舞われることになります。時には外科的処置を必要とする場合もありますので、魚介類を食べた後に疑わしい症状があれば、すぐに医療機関を受診してください。
アニサキスの主な症状と感染部位
アニサキスは消化管を中心とした様々な部位に感染し、感染部位に応じた症状を引き起こします。
胃(最も多い感染部位)
- 激しい上腹部痛
- 嘔吐
- 吐き気 など
腸(比較的まれ)
- 激しい下腹部痛
- 嘔吐
- 下痢 など
※腸閉塞や腸穿孔を併発することもあります
消化管外(まれ)
- 感染部位に応じた症状(腹痛・嘔吐・発熱・下痢など)
アニサキスアレルギー
アニサキスによる症状の一部は、アニサキスのたんぱく質に対するアレルギー反応だと考えられています。そのため、アレルギーの強さによっては腹痛や嘔吐などと同時に以下の症状が現れることもあります。
- 呼吸困難
- じんましん
- 発熱 など
アニサキスの原因
生の魚介類の摂取
アニサキスは、サバ、サンマ、イカ、イワシなどの海産魚介類の筋肉や内臓に寄生します。これらの魚介類の生食(お刺身など)によってアニサキスが生きたまま体内に入ることで感染します。
不十分な加熱・冷凍処理
アニサキスは、60℃で数分間以上の加熱、あるいは-20℃で24時間以上の冷凍処理で死滅します。これらの処理が不十分だと、調理済みの魚介類を食べた際にも感染が起こり得ます。
アニサキスの検査と診断
問診
症状のほか、食事歴(生魚介類の摂取歴)を確認してアニサキスに感染する機会の有無を調べます。
内視鏡検査(胃カメラ検査)
アニサキスが胃に感染している場合は、胃カメラで直接観察することで診断できます。発見したアニサキスは胃カメラを使って摘出でき、虫体が除去されれば症状はただちに改善するケースがほとんどです。
画像検査
腸や消化管外に感染したアニサキスの場合は、内視鏡による診断・治療が困難です。その場合は超音波(エコー)検査などで感染箇所を確認します。
アニサキスの治療と予防
内視鏡治療
内視鏡を用いてアニサキス虫体を摘出します。虫体を摘出すれば、ほとんどの場合で症状は速やかに改善します。しかしまれに虫体の除去後も症状が残ることもありますので、経過には注意が必要です。
対症療法
アニサキスはヒトを宿主にはできないので、放置しても自然に死滅します。内視鏡による除去が難しい場合などは、腹痛や嘔吐などの症状に対して鎮痛薬や制吐薬などを使用し、虫体の自然死滅を待ちます。
外科的治療
腸閉塞や腹膜炎などの合併症を伴う場合は、手術が必要となることもあります。
予防・対策
魚介類を十分に加熱する(60℃以上で数分間以上)、または-20℃以下で24時間以上の冷凍処理を行うことで、ほとんどのアニサキス感染を予防できます。ご自身で釣った魚を調理する際の処理をきちんと行うことはもちろんのこと、新鮮なものを信頼できる販売元から購入することも重要です。